江川春朝・清美ご夫妻

「クピドの悪戯」

江川春朝・清美ご夫妻 自動車塗装業

yr092 小さな島の丘の上に、レンガ造りの教会があります。昔は数百人が住んでいましたが、今では誰一人もいません。無人島なんです。訪れるのは島を管理する人と観光客。教会も以前は荒廃しかかっていましたが、隣の島の人達の好意で応時の美観を取り戻せたのです。有難いことですよ。

 

 

 

 

 

春朝さんは地元の小値賀町出身、清美さんは愛知県豊明市出身だそうですが、これほど遠く離れた二人が出会った経緯は何ですか。
「僕は高校を卒業して大阪の美容学校に進学したんですが、一年で辞めて島に戻りました。都会暮らしは合わなかったので。そのまま実家の酒屋を手伝い、地元のイベントなどの活動をしながら・・・」
春朝さんの微笑みを受けて、清美さんが続けます。「私は音大に進んで、子供の頃から習っていたピアノのレッスンに明け暮れていました。プロの音楽家になりたかったから。そんな或る日、前年に参加経験のある友達に誘われて“おじか国際音楽祭”に来たんです。」
島にそよぐ風のように微笑みます。
なるほど、後は想像がつきますね。音楽祭の世話をしていた春朝さんと知り合ったわけですね。
「正しくは、隣の野崎島の教会で出会ったんですが」
「音楽祭の最後に演奏会があって、その時にね」
そんな二人を結びつけたエピソードは訊けますか。「他の参加者たちは船で戻って行ったんですが、彼女と友達だけ飛行機で帰ったんです。だから誰もが港に見送りに行ってしまい、かわいそうだから僕は空港に・・・」
「とても感激しましたよ」清美さんは満面の笑み。
その後は清美さんが2~4か月に一度の割合で小値賀に通ったそうですが、結婚を決めたポイントは。
「私が大学四年の時、病気で顔が腫れ上がり膿だらけになったんです。もう結婚なんて無理だと思って、その顔写真をメールで送ったんです。別れようと」
「僕は何とも思いませんでしたよ。普通に接してましたね」

 

 

yr092_02遠距離ですし、色々と問題はあったようですが、春朝さんが愛知に行き、清美さんの両親に話しをして認められたそうです。
実は、清美さんを誘った友人は前年に知り合った春朝さんを紹介するつもりだったようですが、初対面の二人の様子を見ていて無理かなと・・・。
だから私がちょっとした悪戯をしたんです。あれこれとイベントのお世話をしてくれる春朝さんに、お礼を兼ねましてね。あの演奏会場で、矢を彼に放ったってわけです。申し遅れましたね、私は旧野首教会に住むクピド、つまりキューピッドなんですよ。

 

 

 

 

 

 

2014年7月vol.116 「よろしく先輩109」