金澤政孝・民子ご夫妻

「野に咲く花のように」

金澤 政孝・民子ご夫妻 長崎市在住

yoroshiku_15.fw子孫を残すために花を咲かせる植物は、受粉に必要な虫や鳥を誘うために色・形を工夫して、ランディング・スペース(足場)まであるといいます。
 林芙美子の言葉を借りるまでもなく、花の命は短いのですから、チャンスが大切なのは人と同じ。

 

 

 

 

 

「この世に、こんなに美しい人がいるのだろうか」
 男と女の出会いの印象ですから、誰が聞いてもこのセリフはご主人だと思うでしょうね。でも、これは民子さんの言葉なんです。
 「当時、同じ職場にいたんですが、ある夜、宴会で政孝さんが酔いつぶれてしまいましてね」
 ここぞとばかり、民子さんはタクシーで自分の家に連れて戻り、介抱したのだとか。勿論、政孝さんも同じように好意を持っていたようです。

 ところで、ご夫婦揃って“押し花”を作るのは珍しいと思いますが、経緯は何だったのでしょうか。
 「息子が小学生の時、夏休みの宿題で植物採集があって、それを手伝ったのが始まりでした」
 以来、民子さんは押し花の魅力に取り憑かれた。
 「民子さんが草花を採集し、私がその場で押し花に加工して手伝ってたんです」と、政孝さん。
 10年経ったある日、民子さんは政孝さんにも創作を勧めてみました。自分とは違う感性に気付いたのだそうです。
 「嫌いではありませんでしたし、子供の頃から自然の中で生きて来ましたから、感性なんて難しいことではなく、身に付いていたんでしょう」
 そう話す間も、政孝さんは創作の手を休めません。
 夫唱婦随ならぬ“婦唱夫随”ですね。
 「ええ、私が師匠で、政孝さんは弟子なんです。・・・ほら、それは少し大き過ぎない?」
 「うるさいな。自分の考えで作ってるんだから」
 おやおや、口論が始まりましたよ。でも、これは日常茶飯事なのだとか。他人の感性が混入すると、訳の解からない物になってしまうんですね。

 

 

yoroshiku_15_02.fwでも、話しを伺っていると、ひとつ争えば、ひと
つ謝り、ひとつけなせば、ひとつ褒め合い・・・。
この繰り返しなのに気が付きました。
 「こんな風ですから、人生がとっても楽しいんで
すよ。政孝さんのおかげで」
 「いやいや、こっちこそ幸せを頂いていますよ」
 まあ、夫婦喧嘩は犬も食わないと申しますが、仲
の良い二人を目の前にしますと、こちらの居場所が
なくなってしまいました。“あの、すみません”この
続きは、私を押し花にしてからに願いますよ。

 

 

2006年8月vol.22 「よろしく先輩15」