児玉盛介・涼子ご夫妻

「町の幸せ売り」

児玉 盛介・涼子ご夫妻 西海陶器株式会社 代表

yoroshiku_17.fw世界最古の土器は、青森県蟹田町で発掘された1万6500年前の物らしい。しかし、焼き物の器は昭和45年に長崎県で見つかった1万2000年前の豆粒紋土器だとされます。縄文時代初期の物。
 器と言えば、もちろん食べ物を煮炊きする道具だから、これによって食文化が大きく変化したことは想像に難くありませんが、今日では転じて『人間の才能・器量』の意味にも使われますね。

 

 

 

 

 

「うちの奥さんはもともと器の小さいやつでしてな・・・」
 盛介さんは、涼子さんをそんな風に評します。
 「いきなり知人を連れて帰ると、『部屋はちらかってるし、食べ物も大した物が無いし、なぜ前もって連絡をくれなかったの』ってうるさくて」
 「当然でしょ、みっともないんですから」
 でも、そんな奥さんも、いつの間にかおおらかになったとか。
 「人間は誰だってね、急に招待されて豪華な接待を受けられるなんて思わないでしょ。それを教えたんですよ」盛介さんはお腹を揺すって笑う。
 ところで盛介さんは交友関係も広いと伺ってますが、これも『器』の広さ・大きさなんですね。しかも、ホームステイを受け入れたり、世代を超えた若い人達に建物を提供したり。
 「そう。私は好奇心が強いですから、自然に人が集まったり、紹介されたりするんですね」
 それじゃ、涼子さんとも自然に。
 「いや、この人は私の父が見つけたんですよ」
 「私は東京で非常勤の音楽教師をしていたんですけど、波佐見に引き上げたら、お話がありまして」
 「三代目の私は、当時、東京の会社を任されてましてね、だから、この人はまた東京へ来たんです」
 決め手は何だったんですか。
 「タイミングでしょうね。そろそろ結婚も考えなければならない年齢でしたし」と涼子さん。
 「私は商売をしてますからね、しっかり者の奥さんでないと困りますから。父はいい人を見つけてくれましたよ」盛介さんは照れながらも真顔になった。

 

 

yoroshiku_17_02.fw陶芸の世界には『焼き物を育てる』という言葉
があります。長年使用しているうちに、独特の
色合いや“味”が出て来るんですね。これは夫婦
の人生にも言えそうですが、どうも先程から見
ていますと、本当に器が大きいのは涼子さんの
ようですよ。時間を掛けて、手のひらの上で“育
てて”いたんですね。

 

 

2006年10月vol.24 「よろしく先輩17」