井手源一郎・伊寿枝
ご夫妻

「そして今は」

井手 源一郎・伊寿枝ご夫妻 棚田米農家

yoroshiku_30.fw田と畑の違いはご存知ですね。稲を作るか、穀物・野菜を作るかで区別します。でも陸稲(おかぼ)という、畑で作る稲もあります。それなら、この場合は畑ではなく田と言い換えるべきだと思うのですが、これは捻くれ者の考えでしょうか。

 

 

 

 

 

源一郎さんは農家の跡取り息子、伊寿枝さんはサラリーマン家庭の娘。文字通り“畑違い”の二人が知り合った経緯は何だったんでしょう。

「中学の同級生だったんです」
 「その事を、主人も私も知らなかったんですが、友達に教えられて思い出したんです」
 すると、昔は意識する仲ではなかった訳ですね。
 「主人はとにかく優しい人なんです。今でも私の友達が遊びに来ると、皆が羨ましがります」伊寿枝さんがおおらかに笑い、源一郎さんが照れ臭そうにうなづきます。

 それにしても、農家の仕事は大変ですし周囲の反対はなかったのですか。
 「私の高校時代の恩師は“一ヶ月も持たないだろう”と話してましたよ。でも、主人は優しい人ですから・・・」と伊寿枝さん。
 「夫婦は、もともと他人ですし、しかも奥さんは全く知らない家に嫁に来るんですからね、大事にしてあげないといけませんよ」源一郎さんは淡々と話します。
 そこに伊寿枝さんが身を乗り出して付け加えました。
 「農家の嫁になるのは大変でしょうと、よく言われますが、大切なのは自分にとって素敵なパートナーと巡り合うことなんです」
 二人は時々、他の農家の息子さん達にお嫁さんの世話をするそうですが、これも自分達の経験に裏打ちされているからこそ出来る事なんですね。
 「うちにも息子が二人いますが、それぞれのお嫁さんが“私達も、お義父さんお義母さんのような夫婦になりたい”と言ってくれるのが、何より嬉しいですね」伊寿枝さんは相好を崩して話します。

 

 

yoroshiku_30_02.fw収穫を控えた棚田の上を、爽やかな風が舞って
行きます。この米は、注文を受けた家庭にだけ
届ける、名付けて“源さん米”なのだとか。今年
も首を長くして待っている人達のもとへ、やが
て届くことでしょう。私達も、少しでいいから
棚田米なる物を食べてみたいと思ったのですが、
場所が場所だけに、この話は棚上げにしておき
ましたがね・・・。

 

 

2007年11月vol.37 「よろしく先輩30」