第1話 「辛抱第一」

気がつけば、今年で結婚30年を迎えます。
社会人生活の大半を、新聞記者として過ごしました。会社を辞めて学術の世界に飛び込んで大学院に飛び込んだのが10年前のこと。大学教員として富山県を皮切りに二年前に長崎にまいりました。東京の自宅から離れての単身赴任は6年になりました。よく夫婦関係が続いていると実感します。
そんな結婚生活を振り返るときに思い出すのが、記者時代にお世話になった三重野康・日本銀行第26代総裁が結婚式の祝辞に好んで使った言葉です。
「健康第一」、「いたわり第二」、「辛抱第三」。
祝辞にしては素っ気ない…。最初に耳にした時、そんな気がしました。が、30年間を振り返ると、実に奥の深い言葉であるように思えてきます。とくに優しさと同義語のような「辛抱」という言葉は、私にとっては第三ではなく第一が適当かもしれません。「辛抱」した度合いは、おそらく相方の方が遥かに大きなものなのでしょうけど。