岩 安範・素子ご夫妻

「育んで一つに」

岩 安範・素子ご夫妻

DSC_0201 ■思ったことをポンポン 

飾ったところがない。「お互い、思ったことをポンポン言います」と素子さん。安範さんも、傍らでにこやかにうなずく。
仕事場は、素子さんの父親が創業した老舗鶏卵会社の長崎支店。「太陽卵」のブランドで消費者の信頼は厚い。30数種類の自然素材を独自のやり方で配合し、ビタミンE、ミネラルなどが豊富だ。自然素材と独自のやり方が「太陽卵」を生み出したとすると、安範さんと素子さんを育んできたものは何だろうか。そしてまた、二人が育んできたものは。

 

■父親の反対を乗り越え
二人とも島原市の出身。安範さんは中学の夏休み、左官をしていた父親を朝から晩まで手伝った。「セメント1俵は50キロ。ブロックも2、3個は持って運ぶ。自然に体力がついた」。
これまで、肉屋、野菜屋、魚屋…。陰ひなたなく、黙々と働いた。「今できることをしっかりしていけば、どこかで必ず役に立つ」と信じて。
素子さんは家族の愛情に囲まれて育った。父親がよくこう言っていた。「素子に優しくしてくれる男性はいくらでもいる。しかし、周りにまで優しくしてくれる人を選びなさい」。見かけだけでなく、その人間性をこそ見極めてほしい、ということか。
出会いはガソリンスタンドだった。安範さんが野菜の行商中に寄った際、高校3年生の素子さんに「何となく声を掛けた」。結婚したのは安範さん29歳、素子さん26歳の時。長い間素子さんの父親は反対していたが、ある日を境に態度が変わった。「父が仕事上のピンチに陥った時、この人が助けてくれたんです」
安範さんは家の近くで女性が助けを求めているのを聞いて、サッと現場へ駆けつけたこともある。

 

■お前しかおらんやろう
「主人は普段私に厳しいんですよ。何で?と尋ねたら、お前しかおらんやろうって。私もあ~、そうだなと。それからあまり反抗しなくなりました」
小さいころから苦労を重ね、「自分のためになる」とひたすら信じて歩んできた安範さんを「静」、降り注ぐ愛情の元で明るく素直に育ち周りを引き付ける素子さんを「動」と評せるかもしれない。互いのリズムを尊重し合い、知らず知らず心地よいハーモニーをつくり上げているように感じる。仕事の糧「太陽卵」になぞらえれば、「自然素材」が素子さん、「独自のやり方」が安範さん、か。二つが一つになって、おいしい卵=夫婦を生み出している。

二人は「体が動く間は仕事」と口をそろえる。仕事以外でimg274関心があるのはバイク。安範さんは1200ccの愛車で友達とツーリングへ。素子さんは「今は通販の担当で忙しく、一緒に行けない」。「年を取ったら私はサイドカーぐらいがいいかな」と明るく笑う。
いつの日か、阿蘇・久住あたりの草原を、さわやかな風を受けながらサイドカー付きのバイクが走る。そんな光景が目に浮かぶ。もちろん、「太陽」の光をさんさんと浴びて。

 

 

2015年7月 Vol.126「よろしく先輩119」