小田楽天・万里子ご夫妻

「笑顔仕立ての心」

小田 楽天・万里子ご夫妻 カスタムテーラーオダ店主

yoroshiku_36.fwイギリスの国旗はご存知ですね。日本人なら紺地に白で縁取った赤い「米」の文字をイメージするでしょう。
 でも、その由来になると知る人は少ないようです。実は三つの国旗を重ね合わせてあるんですね。
 紺地に白い×印がスコットランド、細く赤い×印が北アイルランド、そして赤く太い十字はイングランド。

 

 

 

 

 

「うちは見合い結婚なんですよ。こんな話は照れますね」 
 そう言いながらも、ご主人は豪快に笑います。
 「ここのビルを作る時に、建設会社の社長から薦められていたんですが、ある日、彼女が突然訪ねて来たんです」
 「主人の父が気に入ってくれてまして、それで示し合わせてここに様子を見に来たんです」万里子さんはヒバリのような声で笑いました。
 楽天さん三十二歳、料理学校で助手をしていた万里子さんが二十七歳の時。第一印象はお互いに良かったそうですが、二人とも、まだまだ純情だったようです。
 そのせいでしょうか、楽天さんからの返事はないまま。
 「私は、断られたと思ってましたよ」万里子さんは囀るように話し、笑います。
 「へえ、初めて知ったなあ」楽天さんは驚きながらも豪放に笑います。会話より笑い声の多い夫婦ですよ。
 
 二度目のデートは、父親が一万円を持たせて、万里子さんの家まで連れて行ったのだそうです。
 そして三度目は、楽天さんが友人と催した忘年会に誘った時。これも友人の後押しがあったようですが。
 こうして、周囲の三重の支えがあって生まれたカップルは未だに色褪せることがありません。
 「奥さんは心が美しい人で、三人の娘たちがそれを受け継いでくれてますよ」嬉しそうに相好を崩します。
 「主人は、今でも初めての日と同じように素敵な人なんです。娘たちのお婿さんは、皆が実の息子のように親しみを込めて“とうちゃん”と呼んでくれてますもの」
 互いに見詰め合い、あとはひたすら響く笑い声・・・。

 

 

yoroshiku_36_02.fwところで、洋服は“仕立てる”と言いますね。
「大辞泉」に拠りますと「目的に合わせて作り
上げること」とあります。店内のイギリス国旗
を模ったマークを見ていますと、この夫婦は、
紹介者・父親・友人が協力して仕立てた最良の
カップルに違いありませんよ。それに、よく笑
いますもの。
 お客さんの中には、仮縫いの時だけ飛行機で
やって来る方々もいる。まさに、「笑う門には
“服”来たる」なんですね。あれれ、二人はまだ
笑ってますよ・・・。

 

 

2008年5月vol.43 「よろしく先輩36」