一瀬 政太・美恵子ご夫妻

「夫唱婦随」

一瀬 政太・美恵子ご夫妻 波佐見町長

一瀬 政太・美恵子ご夫妻

「長崎県で今最も元気のある町では」。長崎市から東彼杵郡波佐見町によく行くという女性が評した。その波佐見町で1998年の初当選以来5期目のかじ取りを任されているのが、一瀬政太さん。政太さんを「動」とすれば、美恵子さんは「静」。まさに、動と静がうまくかみ合って結婚47年の歳月が流れた。

 

■夫や周りを立てる

インタビュー会場は、同町西の原の製陶所跡にお洒落な店が立ち並ぶ一角。2階へ上る時、美恵子さんは取材陣を先に促し、自らは3歩下がってしんがりを務めた。常に夫や周りを立てる控えめな性格が表れている。
「どんなご夫婦?」の問いに、政太さんは「夫唱婦随」と答えた。外でバリバリ動き回る政太さん。美恵子さんは内にいて、家をしっかり守る。「さすがに選挙の時だけは、少し外にも出てもらいますが」(政太さん)。美恵子さんは「本当に少しだけなんです」と申し訳なさそうに小さな声で添えた。
二人は同じ中尾地区出身で、小中学も同期。青年団活動を通じてさらに知り合い、25歳で結婚した。スポーツマンで行動派の政太さんと、4人姉妹で育ち物静かな美恵子さん。互いにないものに魅かれ合ったようだ。

 

■走りながら考える

政太さんは実家の窯元の専務をしていた。町議を2年務めた後、52歳の時に町長選の候補に担がれ初当選。美恵子さんはその頃の心境を「周りから推されて、家族はもう走らざるを得ない状態でした」と振り返る。
「走りながら考える。考えながら走る」がモットーの政太さん。決断も速い。そうした夫に美恵子さんは「必死でついてきた。裏方に徹した」。特に気を遣ったのは食事。玄米や胚芽精米、生野菜、豆乳、牛乳、ヨーグルト…。「体が一番ですから」と心を砕いた。表情も物腰も柔和な美恵子さんだが、「奥ゆかしさ」の中にどこか芯の強さを感じる。
町長就任当時は財政破たん寸前だった波佐見。しかし、今は400年を超す伝統の窯業、農業、観光を組み合わせて再生への道を歩む。キャノンの誘致をはじめ雇用創出にも力を入れてきた。「観光による交流人口100万人計画は今、88万人まで来た」という。
政太さんは「波佐見の良さは協調心」と語る。「地域、産業界、行政の3者がス一瀬 政太・美恵子ご夫妻クラムを組んでいる」。そのスクラムが固いのは、政太さんの「公務か否かを問わず、人にはどんどん会いに行く。それが町の役に立つから」という攻めの姿勢で築かれたのではないか。
毎朝散歩と柔軟体操を欠かさない政太さんの顔はつやつやと輝いている。美恵子さんも若々しい。退職後の二人の夢は「どこかへ一緒に旅行したい」。花を育てるのが大好きな美恵子さん。旅先で花々や景色を楽しむ生き生きとした姿が想像できる。そして、もしかしたらその時は、美恵子さんが先頭に立ち、政太さんがニコニコ従っているのかもしれない。

 2016年1月 Vol.132「よろしく先輩125」