古川 隆三郎・すずか ご夫妻

「絆の町に広がれ満天の星」

古川 隆三郎・すずかご夫妻 島原市長(島原市)

古川 隆三郎・すずかご夫妻

「僕の胸でおやすみ」。南こうせつのこのフォークソングの名曲が、二人を結び付けた。
声を最初に掛けたのは、すずかさんだった。隆三郎さん24歳、すずかさん21歳の夏、場所は市のカラオケ大会が開かれた島原文化会館のステージ上。二つ隣に並んで座っていた隆三郎さんにすずかさんが話しかけた。ともに高校時代からバンド活動をし、すずかさんは隆三郎さんのことを知っていたのだ。以来、不知火まつりへの出演など音楽活動を通して親しさを増していく。特に、大のこうせつファンだという共通項が、距離を一気に縮めた。

 

■「ご両親の面倒は僕が」
ゴールインしたのは、出会いから約10カ月後。ただ、隆三郎さんがすずかさんの両親に最初「すずかさんをお嫁さんにください」と申し入れた時は、「あなた、養子に来なさい」と言われたという。すずかさんは4人姉妹の末っ子だったからだ。しかし、父親の家業である青果商を継がなければならない隆三郎さんは、「お父さんとお母さんの面倒は僕が見させていただきますから」と言い切った。
互いにどこに魅かれたのか。隆三郎さんは「コマーシャルに出ていた宮崎美子に似て、かわいかった。活発そうだけど、素直で家庭的、しっかりしている」、すずかさんは「こうせつに似ている。趣味が一緒で、話題も豊富。両親のことをきっぱり言ってくれたのが、特にうれしかった」と語る。
■「誰かのためするなら」
青果業の傍ら育友会、消防団、子どもソフトボール指導など地域のために活動した隆三郎さん。やがて推されて市議に当選、さらに市長へと歩を進めた。その原点は、一所懸命子育てをしている地域の人たちの姿をじかに見たこと。「少しでも力になりたいと思った」
市長として子育て支援に全力を挙げた。おむつやミルクの応援として第2子から月2000円を、第3子からは月3000円をそれぞれ2年間支給▽保育料を第2子から無料化▽子どもの福祉医療制度を中学卒業までに拡大―など先進的な取り組みだ。合計特殊出生率は1.85から2.04に上がった。
そんな夫をすずかさんはフル回転で支える。青果の家業を長男ともり立てる一方、毎日正午には愛妻弁当を届け、夜の会合にも車で送り迎えする。「お父さん(隆三郎さん)が誰かのためにするんだったら、行くところまでついて行きます」。隆三郎さんは言葉ではなかなか表わさないものの、すずかさんに感謝の思いでいっぱいだ。古川 隆三郎・すずかご夫妻
水の都と呼ばれる美しい島原。隆三郎さんはこの町を「4万5千人、人と人の絆が強い町にしたい」と熱く語る。その夢をすずかさんは「自分にできないことは降りかかってこない」という信念で支えていく。
こうせつと同じ円い眼鏡の隆三郎さん。優しいまなざしで寄り添うすずかさん。二人の視界の先に広がっているのは、きっと、絆の町島原の夜空に輝く「満天の星」に違いない。

2016年6月 Vol.137「よろしく先輩130」