市原浩一郎・ゆかり
ご夫妻

「風薫る」

市原 浩一郎・ゆかり ご夫妻 長崎かゞみや おかみ

yoroshiku_72.fw主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りをきっかけに幼年時代を思い出す・・・。プルーストの“失われた時を求めて”の一節です。このことから、或る匂いによって古い記憶が甦る現象を“プルースト効果”と言うのだそうです。

 

 

 

 

 

二人は何処で知り合ったんですか。
「僕がサラリーマン時代に赴任していた福岡で」
「私はイベント会社に勤めていたんですが、彼の会社との関係で合コンがありまして」
そこで意気投合したんですね。
「実は、二人だけが取り残された恰好だったんです」
「それで、私は旅の話をしたんです。それまで東南アジアを中心にバッグパッカーをしたりしてましたから」ゆかりさんは牡丹みたいに微笑みます。
「僕も、近い所ですが旅が好きでしたから。彼女の話に吸い込まれたんですよ」浩一郎さんも笑います。

 そんな二人が“宿とアンティークキモノ”を始めたのは何故でしょう。
「知り合って八か月で、僕が愛媛に転勤になって」
「私は、仕事を辞めてついて行ったんです。だけど専業主婦はつまらなくて、ある日、昔着物の試着体験に出掛けたら、そのまま虜になってしまって」
「二度目は僕も行ったんですが、やはり同じように魅せられてしまいましてね」
「私は、いつか昔着物に関わる仕事がしたいと思うようになり、昨年、思い切って開業したんです」
「僕も、もともとサラリーマンを続けて行くつもりはありませんでしたし、そのことは結婚するときに彼女には話してましたから、あとはトントン拍子で」

 これからの夢はありますか。
「僕は長期間インドを旅したいですね」
「私も、ずっと旅をしていませんから、一緒にね」
「そのためには、スタッフを充実させて」
「そう、暫く留守ができるようにならないと」

 

 

yoroshiku_72_02.fw旅の楽しみは、色々な人たちとの出会いだと口
を揃えます。今は、訪れるお客さんとの出会い
を楽しんでいますが、やがて、新しい出会いを
求めて出掛ける日が来ることでしょう。
 爽やかな五月の風は、二人に旅の香りを運ん
でいるのかもしれませんね。
 誰ですか、着物に足袋(旅)は付き物だなんて
言ってるのは・・・。

 

 

2011年5月vol.79 「よろしく先輩72」