草場 哲朗・望ご夫妻

「環境と体に優しい食を」

草場 哲朗・望ご夫妻 料理店主(西海市大瀬戸町雪浦下郷)

草場 哲朗・望ご夫妻

毎年のゴールデンウイーク、多彩な催しが繰り広げられる大瀬戸町雪ノ浦。住民が自宅や工房を開放し、訪れる人と交流する。美しい山、海、川に囲まれた一帯に音楽が響き、笑顔が広がる。そんな雪浦に魅せられて、哲朗さんと望さんは約1年半前に移住してきた。

■ペルー料理と野菜料理

国道202号から雪浦川沿いに折れ、車で約5分の「ゆきや」。新鮮野菜、加工品、手芸品、うまいコーヒーなどが揃う憩いの場だ。ここはかつて地域の中心商店だった所で、今は「NPO法人雪浦あんばんね」が運営。二人は今年6月から、水~日曜日にペルー料理と野菜料理の店を開いている。

哲朗さんは佐賀県武雄市、望さんは福島県喜多方市の出身。二人を結び付けたのは、マクロビオティック料理の研究家、中島デコさんのレシピ本だった。マクロビオティックは陰と陽の食材のバランスを重視、自然と調和を取りながら健康な暮らしを実現する。その土地の旬の食材を大切にする「身土不二」、皮や葉を含めて野菜を丸ごと食べたり玄米を食べたりする「一物全体」の考え方が基本だ。

望さんは中島さんが主宰する千葉県の「ブラウンズフィールド」へ行き、料理スタッフに。そこへ3年前の10月哲朗さんが研修生としてやってきた。二人はここで自給自足の集団生活を送りながら、マクロビオティックを学び、翌年2月、入籍する。

ブラウンズフィールドへ来る前の3年間、海外で暮らしていた望さんだが、「そろそろ結婚して子どもを産みたいなと思っていた」。惹かれたのは哲朗さんの「優しいところ」。一方の哲朗さんはかつてペルーで日本食の店を出し、東京で料理店を開くのが目標だった。望さんとは食についての考え方が似ているだけでなく、音楽や映画でも話が合った。最終的に東京暮らしを選ばなかったのは、望さんの意向が大きい。小さい頃からアレルギーで苦労したこともあり、「都会は嫌いではないが、自然や豊かな食材が身近にある田舎で暮らし、子育てもしたい」と。

 

■気負わずに、自然体で

今、二人が店で出している料理は「ペルーランチ」「野菜ランチ」「和食」の3種類。「自分たちが安心して食べられるものを提供する」という強い思いで、無農薬の米や野菜、手作りの味噌や酢などを草場 哲朗・望ご夫妻使っている。そこには、アレルギー体質からの脱却のため、薬の服用をやめて食生活の根本的改善に努めた、望さんの壮絶な体験も大きく関わっている。

お客が満足するメニューへの研鑽を重ね、いずれは別の場所に独立した店を持ちたい。二人はそう夢を描く。もちろん、気負いなく、自然体で生きていける、この雪浦で。フォルクローレのような軽やかな暮らしの響きが流れる、この雪浦で。

 

2016年11月 Vol.141「よろしく先輩135」