田中 耕一郎・江里子ご夫妻

「環境と体に優しい食を」

田中 耕一郎・江里子ご夫妻 コミュニティカフェ ヤム・ヤム経営(長崎市)

田中 耕一郎・江里子ご夫妻

大手都市銀行を退職後、7年前に長崎市内の実家を改装して喫茶レストランを始めた。

 

■手作りの味と人の交流

店名の「ヤム・ヤム」は、「おいしい、おいしい」という意味の米国の幼児語「yumyum」。子どもでも安心して食べられる料理を、の願いを込めた。「コミュニティ」の原語は、「語り合う」「心を通わす」「親しく交わる」の「commune」。コミュニティカフェ ヤム・ヤムは、地産地消による県産食材の循環と、交流の場の提供による人々の循環を目指す。料理はできる限り農薬や化学調味料、添加物を使わない「手作りの味」を心掛ける。

笑うと目が線になり、人懐っこい印象を与える耕一郎さん。黙々と調理に集中し、こまめに動き回る江里子さん。

出会ったのは、耕一郎さん26歳、江里子さん24歳の時。共通の友人が江里子さんを連れて大阪へ遊びに来た際、耕一郎さんが案内した。初対面の印象を耕一郎さんは「真面目そうな子で、可愛かった」、江里子さんは「誠実そうだと思った」と語る。交際約1年の後、結婚する。1男2女に恵まれた。

■大病患い、帰郷決める

人生の転機は、耕一郎さんが57歳の時。髄膜炎を患い、療養で1年間休職。右耳がほとんど聞こえなくなったこともあり、60歳の定年でサラリーマン生活に区切りをつけた。江里子さんは耕一郎さんが大病にかかった時期に2年間、飲食店で働き、調理師の資格を取得。パン教室にも約10年通っていた。

ただ、飲食店営業は二人にとって全く未知の世界。最初はメニュー作りにだいぶ苦労したようだ。しかし、もともと料理が好きな江里子さん。スローフードに関心を寄せてきた耕一郎さんも、研究熱心さでは負けない。メニューは徐々に充実していった。

長崎牛、雲仙スーパーポーク、長崎ばってん鶏など、食材にはこだわり、県から「ながさき 地産地消こだわりの店」に認定された。風評被害に
苦しむ福島の生産者を応援するため、日本酒や梨などを仕入れて店に置いてもいる。ランチタイムには若い女性の姿が目立ち、一番人気は「クイックプレートランチ」(750円)。揚げ物に使うパン粉一つでも、自分たちで手作りした食パンから取り、バジルペーストも自家製。そうした素材へのこだわりが客にも伝わるの田中 耕一郎・江里子ご夫妻だろう。

夜は随時、ライブなどのイベントも。上階では音楽教室や各種集いも開かれ、まさに「コミュニティカフェ」の感がある。

気軽に入れる店の雰囲気と同様、仲の良い二人からはほのぼのとしたムードが漂ってくる。「すごくおいしかったと言われるとうれしい」(江里子さん)、「人のつながりをさらに広げたい」(耕一郎さん)。人の胃袋と心に癒しを与える二人の仕事は、yamanai。

 

2017年1月 Vol.142「よろしく先輩136」