松下卓生・香代子ご夫妻

「言葉は要らない」

松下 卓生・香代子ご夫妻 画家(二紀会会員)・会社勤務

yoroshiku_89.fw人類を他の動物と区別するものに言語の存在があります。さらには絵を描くこと。絵画は、古くは四万年前の旧石器時代まで遡るとされます。絵画には、遠近法という距離感を表現する手法がありますが、これも古くは紀元前五世紀、古代ギリシャの舞台美術に用いられていたといいますから驚きですね。

 

 

 

 

 

二人は島原出身。知り合ったのは地元ですか。
「妻は私の同級生の妹なんです」と卓生さん。
「特に意識していたわけではないんですが・・・」香代子さんは明るく続けます。
「ある時、主人が画廊で個展をしていまして、花を持って観に行ったんです。そしたら何か勘違いしたみたいで・・・」
 交際して一年も経たずに結婚されたとか。
「ある時、妻を送る途中でうちの実家に寄ったら、親戚が集まって宴会の真っ最中でしてね」
「あれよあれよって間に、皆に乗せられまして」

 卓生さんは会社勤めの傍らに絵を描いていますが、奥さんの内助の功を感じますか。
「不満も言わず、いつでも制作がしやすうように対応してくれています。私は結婚を機に絵画制作にはまってしまった。だから妻にはとても世話になっているし、感謝してますよ」神妙な面持ちで卓生さん。

 二人の共通の趣味はありますか。
「私は絵だけだし・・・」
「私は宝塚ファンで、よく観に行きます。今は水泳にも凝ってますが」
 それでは、バラバラなんですね。
「ええ。私は二階で絵を描いてますし、妻は一階で過ごしてて・・・」
「夫婦の会話なんて、制作に追われている日など、それこそ二言か三言なんですよ。それに私には絵なんて解りませんし」
 実家が商売をしていたせいか、私は愛想が良いんですよと、香代子さんは自ら話しおおらかに笑います。
 なるほど、離れているようで実際の気持ちは近いところにある、まさに“心の遠近法”ですね。

 

 

yoroshiku_89_02.fw夫婦も長年連れ添っていますと、確かに若い頃
と違って会話を楽しむ機会が減り、傍目には心
が離れていると思われがちですが、以心伝心、
これが本当の夫婦なんですね。
 

 

 
 
 

 
 

 

2012年10月vol.96 「よろしく先輩89」