第1話 ‘独りでいいもん’女の大転換

アタシ、結婚とかせんけんね――十代から一貫してこんな調子の娘に、母は苦笑いするしかなかった。“離婚は結婚の十倍たいへん”を子供の前にさらした身として、反論のしようもなかっただろう。離婚のリスクがあるんならそもそも結婚しなきゃいいじゃん、と屁理屈をこねくり回してきた娘だったが、29歳にしてまさかの‘結婚したい症候群’を発症する。とはいえ、それもほんの一時的。三十路に突入するや、少し前に感じた心のうずきの正体を検証するでもなく、目まぐるしい日々を送る。

そのうずきの正体がうっすらわかったのは、夫と暮らし始めて数年後、どうやらこの人とやっていけそうだと思えるようになった、そんな時期だ。それも、検証なんて堅苦しい言葉からほど遠く、二人並んでテレビの旅番組をぼんやり眺めているときに、その答えは軽やかに降ってきた。

結婚しない派の女が、たった4か月付き合った男性と37歳で結婚した決め手については、また次回に。