荻原 宏隆・舞ご夫妻

「NANAIROの夢描く」

荻原 宏隆・舞ご夫妻 飲食店経営(長崎市高島町)

荻原 宏隆・舞ご夫妻

■千葉県から移り住む

長崎港から船で35分の高島。千葉県から移住してきた30歳代カップル、荻原宏隆・舞さんが、地元の人たちに見守られながら、島で唯一の「食堂」=ダイニングカフェ&バー=

を切り盛りしている。高島港フェリーターミナルの一角。店のイチ押しは宏隆さん手作りの「ジャークチキン」(700円)。カリッと焼いたチキンに、スパイスの利いたジャマイカ風オリジナルソースを絡めて食べる。

店には、レゲエの陽気でリズミカルな曲が流れている。宏隆さんたちの音楽グループ「RAINBOW MUSIC」が4月にリリースしたCD「YELL(エール)」の1曲。宏隆さんは、先に高島へ移住した福島のライブハウスのオーナーから「いい所だよ」と声を掛けられ、1月に高島へ越してきた。「ゆっくりした時間が流れているところに魅力を感じた」

舞さんとの出会いは5年半前。宏隆さんが勤めていた広告代理店に舞さんが入社してきた。宏隆さんは舞さんの「華やかな雰囲気。それでいて、しっかりしたものを持っている」ところに、舞さんは宏隆さんの「仕事している時の姿が格好良くて、目が輝いている。気持ちも優しい」ところにそれぞれ引かれた。

2年後に結婚し、3歳の彩人(あやと)ちゃんと2歳の維人(ゆいと)ちゃんがいる。

高島はかつて炭鉱全盛期に人口密度日本一だったが、今は総人口400人余り。少子高齢化が進む中で、4人の存在は貴重だ。「島の人たちはとても親切。開店の時の冷蔵庫も頂き物です。何も買わずに済みました」(宏隆さん)。舞さんも「島の人たちはまるで親戚みたい。近所のおじさんが釣ってきた魚を持ってきてくれる。小さな子どもも珍しいので、みなさん可愛がってくれます」とほほ笑む。

高島には釣り客らもよく訪れるため、宏隆さんは弁当も作って配達している。「『助かるよ~』と喜んでもらえるのがうれしい」

一方、舞さんは長崎市本土の香焼で工場従業員相手の弁当屋の仕事もしているため、子ども二人を幼稚園に預けて船で往復する毎日。夏場は隣の伊王島で海の家の仕事にも携わる。

 

■気負わずに自然体で

それぞれ仕事に子育てにと忙しいが、二人は自然体で、気負ったところがない。宏隆さんは小さいころから、決められたことをやるのが苦手で、自らの意思で何でも行動するタイプだった。彩人ちゃんと維人ちゃんにも「子どもたちが自分で考えたことを自分荻原 宏隆・舞ご夫妻なりにやってみることが一番」とエールを送る。舞さんは「彼の音楽がもっと多くの人に愛されたら。そして、この島で家族が楽しく生きていけたら幸せ」と穏やかに語った。

宏隆・舞さん一家は、優しい高島の人たちと美しい海に囲まれながら、人生という広いキャンバスにどんな絵をかくのか。きっと、個性ある糸で自由に紡ぎ出し、彩なす七色のグラデーションで人を癒す作品に違いない。

2017年8月 Vol.151「よろしく先輩144」