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長崎ゆかりの素敵なご夫婦をご紹介

西川 徳繁・登志子ご夫妻

「地元を愛し、市場で生きる」
西川 徳繁・登志子ご夫妻 漬物店経営(長崎市)

西川 徳繁・登志子ご夫妻

長崎市松山町の国道交差点から浦上天主堂方面へ入った平和町商店街。ここの山里観光市場で漬物を中心に果物、野菜、総菜、花などを扱っている。先代の父徳治さん夫妻から引き継ぎ、来年9月で創業60年。利用者の多くは地域の常連さんだ。

■「姉ちゃん」「兄ちゃん」

普段、店で徳繁さんは登志子さんを「姉ちゃん」、登志子さんは徳繁さんを「兄ちゃん」と呼ぶ。先代夫妻と一緒に働いていたころの名残という。市場の良さはお客と店員が対面で気軽にやり取りするところ。「あの漬物はうまかったよ」「今度のはうちにはちょっと塩辛かったごたる」。商品への反応が素早く、ダイレクトに返ってくる。「一回一回が勝負」と徳繁さん。それだけに緊張もするが、やりがいは大きい。ラッキョウ、高菜漬けなど常時約20種類の品物を置き、すべて徳繁さんの手作り。「あんたんとこの漬物が一番口に合う」と言われるのがうれしい。

■「個性が奏で合う独自性」

二人が知り合ったのは、ともに26歳の時。バイクが趣味の別々のグループに所属、合同でツーリングに出かけていた。徳繁さんは登志子さんの明るく元気なところに、登志子さんは徳繁さんの真面目なところにそれぞれ引かれた。店頭では話好きな登志子さんがお客と積極的に会話、いつも明るい声と笑顔が行き交う。登志子さんを「動」とすれば、徳繁さんが「静」か。静動相まった二人。息がぴったりの心地よいリズム感が店に流れる。

 結婚する前、登志子さんは市内の総合病院の看護師をしていた。「結婚と同時に辞めるのは惜しい」という声も寄せられたが、きっぱり身を引いた。商売に携わるのは初めて。「当時はめちゃめちゃ忙しく、月に一度しか休めない。その休日も倉庫での仕事に半ばつぶれた」と振り返る。しかし、半年ほどで慣れた。「割と適応能力が高いんです」と笑う。

 平和町一帯も他の地域同様に高齢化や核家族化が進み、商店街まで足を運ぶ人たちが少なくなってきている。山里観光市場の店舗数も、最盛期の23店から7店へ大きく減った。

 とある土曜日の午後同市場を訪れると、軽やかなギター演奏と美しい歌声が響いていた。世界的ギタリストの山口修さんと純子さんご夫妻が5年前からほぼ毎月ボランティアで続けている「うたごえ市場」。30人ほどのお客が椅子に座って歌詞プリントを見ながら一緒に口ずさむ。店主たちが毎回当番で世話役を務め、市場一丸で盛り上げる。

 温もりと触れ合いが残るこの市場で、これからも二人は、「公私とも、自分に正直に」(徳繁さん)、「笑う門には福来る」(登志子さん)をモットーに誇りを持って働き続ける。市場を愛する人たちが、そして手作りの品を愛する人たちがいる限り。

西川 徳繁・登志子ご夫妻

 徳繁さんを支える登志子さんは、食事面でも肉と魚を交互に出すなど気を配る。「健康が続く限り頑張る」と言う二人。山里観光市場には、今日も「姉ちゃん」「兄ちゃん」の元気な掛け声と笑顔が響き渡る。

2017年11月 Vol.154「よろしく先輩147」

 

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