第1話 「人間~ひとあい」

 新年おめでとうございます。
 年頭にあたり私の心に残る「人間」の話をさせていただきたく思います。昨年27回忌をむかえた当山檀家のIさん。私の母と小学校で同窓でもあり、親しいお付き合いをさせて頂いておりました。私の大学在学中に先代住職が逝き、父に代わり、寺を守り檀家の月参りを務めてくれたのは母でした。多忙な毎日の中で、お参りでお邪魔したIさん宅でのしばしの語らいは、母にとって、どれだけ心の安らぐひとときだったことでしょう。そして私が修行を終えて住職をついだのが、24歳のとき。Iさんは「方丈様、方丈様」といって私を大変大事にして下さいました。このことは、新米の若僧にとってどんなに心丈夫であったか、またどんなに勇気を与えてくれたかは到底言葉にすることが出来ません。いつも感謝の念で一杯でした。
 人は一人では生きていけないものです。人間と書いて「ひとあい」とも読みます。人と人とのつながりがあるからこそ、人は生きていけるもの。だから人との関わりあいが大切なのだと思うのです。今年が皆様にとって素晴らしい一年でありますように願ってやみません。