第2話 「それでも女は可愛いの巻」

 病院というのは人生の縮図です。
 小生が老人病院で仕事をしていたころは、まだ介護保険などなく、介護の主体は家族、とくに奥様でした。その妻というものも色々で、大半は献身的なのですが、中には第三者のような方もおられます。そうなった理由があると言われれば、他人には反論できないのですがね。
 68歳の癌の末期の会社社長の男の患者さまに、毎週定期的にひっそりとお見舞いに来る女性がおられました。病院関係者としての立場で言えば、当男性のご家族は日ごろからかなり身勝手で、奥様もあまりお目にかからなかったので、彼女はなおさら律儀に感じられたのです。ある時、病院の通路でばったり会ったので、「御親戚ですか?」とよけいなことをつい聞きましたら、「いえ、社長には若いころからずいぶんお世話になりました。せめてもの恩返しと思って・・・」どれほどのお世話になったのかは知りませんが、感動したのは小生がやはりおバカ男だからでしょうね。