よろしく先輩

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長崎ゆかりの素敵なご夫婦をご紹介

木下 喜行・美子ご夫妻

「空気のような存在」
木下 喜行・美子ご夫妻 カフェ&バー経営(長崎市)

木下 喜行・美子ご夫妻

喜行さんが24歳、美子さん21歳になろうとする時に結婚して以来、43年を超えた。「今は互いに空気のような存在ですね」と笑いながら口を揃える。

■「あの客は自分の嫁だ」

喜行さんが美子さんに近づいたきっかけが面白い。喜行さんが働いていた長崎市内のバーに、美子さんが看護師の先輩と二人で飲みに来た。一目見て「可愛い。好みのタイプ」と惚れた喜行さんは、何とバーの先輩スタッフに「カウンターの端にいるのは自分の嫁だから、こっちへ呼んで」と席を移動させた。根も葉もないことを言われた美子さんは驚き怒って、すぐ店を出る。

 喜行さんはそれから間もなく別の店主にスカウトされて店を移ったが、美子さんが忘れられない。ある日、美子さんの勤め先の病院に電話し「よかったら誕生日に新しい店へ来てくれないか」と頼んだ。「最初から強引だったけど、そうでもしないと知り合えないし、長崎へ来て間もないため女性の友達もいなかった」と喜行さん。美子さんは「確かに強引だったけど、初めて店で彼と目が合った時、あれっと何か感じるものはあったんですよ」と微笑みながら振り返る。

■「ほとんど24時間一緒」

二人の出身地は、喜行さんが大分県日田市、美子さんは旧西彼琴海町。喜行さんはもともと防衛大学校志望だったが、視力の関係で断念し、東京の大学へ。それから、好きだった長崎市へやってきた。1976(昭和51)年に江戸町で店を始め、銅座町、船大工町、本石灰町を経て、現在の浜町に至る。

 結婚翌年に長男が生まれ、やがて美子さんは病院を退職。家事、子育て、店の仕事とフル回転する。一番大変な時期は、同居した喜行さんの母親の協力も得て乗り切った。

 今の店は昼の時間帯も営業しており、二人は一日のほとんどを共に過ごす。「たとえ家でケンカしていても、店のドアを開けた途端にこっと笑顔に変えるんです」と美子さんが笑う。喜行さんは「人から『よくいつも一緒に居られるね』と言われます。確かに、時には焼きもちを焼き、ケンカもしましたが、飽きたり、嫌いになったりしたことはなかったです」と語る。喜行さんの実家は魚屋で、両親がいつも一緒に生活しているのを見て育ったのも影響しているようだ。

 美子さんは喜行さんに「煙草と飲酒の量をもっと減らしてほしい」と望む。これはなかなか聞き入れられないが、プライベートも仕事も長続きする秘訣を問うと

木下 喜行・美子ご夫妻

、美子さは「ゴルフ、旅行、ドライブと、楽しむのも一緒でしたから」と語った。「いろいろあっても、やはりお互いが一番の理解者ですから」とも。横で喜行さんが目を細めた。

 県の業界団体の役員も務める喜行さんは「素晴らしいお客様に恵まれてここまでやって来られた」と強調。美子さんが「これからも夫婦仲良く、正直第一で店を続けていきたい」とつないだ。

 

 

2017年12月 Vol.155「よろしく先輩148」

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