第36話 「花のいのちはみじかくない」

今年は例年になく寒さの残る春でしたね。桜が咲いて、散って、ツツジと菜の花の競演も盛りを過ぎて、本当の春が来る前に、花の季節も急ぎ足でございました。「花のいのちは短くて、きびしきことのみ多かりき」(林ふみ子)などと時々思った昔もありますが、どっこい、人の生き方を花にたとえられてもそこまで落ち込むなどということは、非凡な私などには得心できません。
 こころの持ちようで、いつも青春、いつまでも青春。可能性を信じて、それなりに心身を整えていく覚悟を持ち続けていければ、若く、強く輝いていけると私は思います。
 過日、ある女性からカメラをいただきました。私の趣味のはしくれに写真があることをひとことも言わず感じとってくれるやさしいこころの方です。35mmのフィルムカメラで、数十年前の日本を代表するメカニカルカメラです。安易、簡便、ムダなしのデジタルカメラ全盛の今、かつてのご主人との想い出の残像がたっぷりつまったカメラを、なぜ、今私に。彼女の出直しの決意を嬉しくいただきました。デジタルカメラは季節は褪せても、こころは褪せません。どうぞこころの褪せる太陽の季節へ急がず、あせらずご一緒しましょう。