第32話 「気づかい、金づかい、息づかい」

夜寒くて飲む酒は、身体は暖めてくれますが、こころまでは暖めてくれません。冬の夜の一人呑む酒の淋しさは、どんな居酒屋のべっぴんおかみのおべんちゃらでも空しいものです。さらにさらに、募るるのみです。人のぬくもりは、何にも変え難い人間だけが持つ息づかいです。どんな息づかいでも良いのかというと、そう単純ではないから、またやっかいです。日頃から憎からず思っている女性とも久しぶりに盃を重ねるなんて時は、その息づかいの何とも色っぽいことかと、我が身の人間性さえ疑ってしまうほどに心地良いものです。そこまで到る心は女性も男性もかなりな修行が必要です。そう信じれば日々の積み重ねは何の無為もないのです。今日のためです。明日のためです。「私、結婚します。決めましたの。いろいろとありがとう」突然のひと言にも、たじろがず、「おめでとう」と平然と祝福してあげられる息づかいを会得する。そのためにもできるだけ多くの人と、できるだけたくさんのお話をして、自分なりの息づかいと、息つくタイミングを学ぼうではありませんか。気づかい、金づかい、息づかいの上手、下手が人生を決めるといっても過言ではないと私は思いますよ。