第16話 「しっとり感、存在感」

「愛してる?」って聞かれると「キミ以外は考えたことないよ」と、とりあえずはあたりさわりのない反応。歌の文句じゃないけれど、聞くだけヤボっていう台詞が最近スラスラっと多すぎません。ま、じゃれ合いと割り切れば他愛もない事ですがね。
 ところで、愛とか、生きざまとか、こだわりとか、情報とかといった、何でも一言で簡単にひとからげ、情とか、念とか、相といった人間だけが持つ思いを 込めた、さり気なく味わい深く、余韻というか匂いがある言葉が軽んじられているようで、淋しい昨今です。「愛してる?」って聞かれて、こころがゆれますか。かつての長崎言葉だと、「ウチのこと、好いとってくれとるよね」平板ながら、スルリとこころにしみます。こころがつながります。色があります。華があります。つまるところ、人と人とのおつきあいは、殊に緊張感のある男女の仲では、雰囲気ではなく、自分の持ち味で、自分の言葉で、しっとりと気持を伝えていきたいものです。時流のワンフレーズにただ乗りはダメですぞ。