第10話 「幸せはみんなのために」

海に面した2階のお店のテラス。まだ覚めやらぬ二日酔の脳にビールで元気を注入しながら、山口瞳さんの「酒呑みの自己弁護」という本を開いていた。
「いいお天気になりましたね」の声。私にか?見廻すとひとつ置いた席、同年輩らしき男性がひとり、コーヒーカップを前にこちらを向いている。問わず語りに話がすすむ。近々娘さんが結婚するらしい。挙式間近というのに何の相談もない、マンションの契約も済んだようだ・・・。そういえば最近は結婚式場の下見や予約に二人だけで出向き、何でも決めてしまうカップルが多いとか。金は出さなくていい から、口も出すな、ということですかね、と式場の係の人の感想。後で親御さん達がそっと確めにこられていることなんかも知らないんでしょうね、とも。幸せに酔いしれる二人の周りをシラケ鳥が飛びかっ ていては長い人生のタメになりません。独身最後の親孝行にと考えて、ご両親やまわりの皆さんのご意向にもこころを開いてみてはいかがでしょう。思わぬ知恵やお金もきっと湧いてきますよ。とんだおせっかいでありますように。