よろしく先輩

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尾花 敏徳・千代香ご夫妻

「互いの道をまっすぐに」
尾花 敏徳・千代香ご夫妻 総合防犯設備業、陶芸家(長崎市)

長崎市内で初めて出会った時、二人とも「縁」を感じたという。敏徳さん38歳、千代香さん32歳。共通の知人の紹介で参加した、あるサークルでのことだった。

■ビビッと来て速攻結婚

「ビビッと来たんです」と敏徳さん。千代香さんも「感じました」と打ち明ける。「主人がハンカチを落とし、私が拾ったんです。手にした時に、あー、いいなって思いました。レンガ色と茶色を配したとてもシックなハンカチ。私の好みでした」。出会いからわずか2か月後、二人は「速攻結婚」する。

敏徳さんは福岡県うきは市出身。市役所に勤めた後、清涼飲料水の販売会社へ。そして、32歳で防犯設備の会社を起こした。千代香さんは長崎市出身。24歳から4年間、山梨県の山中で一人暮らしをしながら、陶芸の修業を続けた後、神奈川県逗子市で開窯。しかし、父親の病気を機に故郷へ戻った。戻って2か月したころに、敏徳さんと出会った。

二人とも、それぞれ専門の知識や技術を生かして暮らしている。敏徳さんは約10年前、日本で初めて人の虹彩(目の角膜と水晶体の間にある薄い膜)を見分けて自動開扉する「虹彩認証システム」を県内のビルに導入した。画像がとらえた人の動きから不審者を感知するシステムも、寺の納骨堂などに設置している。県内ただ一人の総合防犯設備士だ。

千代香さんは陶芸を究めようと、49歳から5年間、京都造形芸術大学の通信教育で学んだ。子どもたちが寝付いた後に勉強、夜汽車で京都へスクリーニングにも。自宅で陶芸教室を始め、今はNBC学園の講師を務める。

■やりたいこと貫きたい

敏徳さんは「男は大海へ船出する。女性はその母港みたいなもの」と言う。信頼でき、心も体も休まる存在、ということか。結婚生活31年。出会いの時に感じた「縁」を、今どんな思いで振り返るのだろう。

「夫婦向き合うというより、並行しながら互いにまっすぐ前へ進もうと生きてきました。付かず離れずの距離感が心地よいですね」と千代香さん。「人生の伴走者ですか?」と尋ねると、二人とも穏やかな笑顔でうなずいた。

それぞれの歩む道を尊重する夫婦だが、協力すべきところはしっかり協力してきた。千代香さんは子育てと年老いた家族の看病や介護に追われていた頃も、自宅に隣接した敏徳さんの事務所で電話の応対をこなした。ストレスからか大きな病気にかかったこともある。

尾花 敏徳・千代香ご夫妻

もともと二人の性格は正反対だ。慎重派で物事を引きずるタイプの敏徳さんに対し、「何とかなる」と楽天家の千代香さんは切り替えも速い。そんな二人だからこそ、かえってうまくやって来られたのかもしれない。敏徳さんは「もし生まれ変わったとしても、彼女と一緒になります」と言い切った。

「自分のやりたいことを貫きたい」と語る千代香さんの夢は、長男が住むロサンゼルスで陶芸教室を開くこと。敏徳さんは「ヨットで太平洋を渡りたい」と目を輝かせた。

2017年4月 Vol.145「よろしく先輩140」

  • 投稿者:堀田
  • 更新

山下 輝昭・智春ご夫妻

「味の音色、心に響け」
山下 輝昭・智春ご夫妻 和食店、ペンション経営(壱岐市石田町)

壱岐島の玄関口の一つ、島の南東部に開ける石田町の印通寺港。唐津市の唐津東港からだと、九州郵船のフェリーで1時間40分の距離だ。この印通寺港から北の芦辺町方向へ車で5分ほど走ると、道路左手に輝昭さんと智春さんの店舗兼宿がある。

「ふうりん」という名前に、二人の思いが込められている。「味の音色がお客さまの心に響き渡るように」

■舌鼓を打つ新鮮な刺身

取材に訪れた時は店先に「準備中」の札が掛けられていたが、気持ちよく開けてくれた。刺身定食(1200円)を注文する。ブリ、タイ、マグロ、それに何と、この日たまたまなのかもしれないが、アラまでついていた。これらの刺身は、いずれも新鮮で柔らか。そして、一切れ一切れが大きい。思わず舌鼓を打った。

輝昭さんは地元石田町、智春さんは大分県中津市の出身。その二人が出会ったのは、福岡市だった。輝昭さんは高校を出て同市内で料理の修業をした後、23歳の時に今の土地が空いたため、家族に勧められて帰郷。店をオープンさせた。しかし、その後も毎週のように福岡へ出かけ、専門学校生の傍らアルバイトをしていた智春さんと、共通の友人の紹介で知り合った。

輝昭さんは、智春さんに一目ぼれした。「好みのタイプだったんです。楽しい人、一緒にいて笑える人がいいなと思っていました」。智春さんも「優しそうな方だな」と好感を抱いた。2年近く交際を続け、13年前、輝昭さん29歳、智春さん30歳の時に結婚した。1男2女に恵まれ、明るく暮らす。

「彼女は炊事、掃除、洗濯と、何でもできる人でした。店のこともよく頑張ってくれています」と輝昭さんは全幅の信頼を寄せる。だが、智春さんは「確かに頑張りはしたと思いますが、いろんな人との出会いがあって楽しかったですよ」と笑い、気負いがない。

もちろん、順風満帆でずっと来たわけではない。店を開店してからしばらくは、着実に客足が伸びた。しかし、商売にはやはり波があり、公共工事の減少なども影響する。

■笑顔が集う島の拠点に

そんな中でも、二人は淡々と「味の風鈴」を鳴らし続けた。これからも鳴らし続けるだろう。「みんなが来やすい店、笑顔が集う店に」(輝昭さん)、「子どもからお年寄りまで、気軽に来てくれる店に」(智春さん)

山下 輝昭・智春ご夫妻

和食の店に隣接して、白い瀟洒なペンションが建つ(1泊2食7000円~)。原の辻遺跡(石田町、芦辺町)、筒城浜、錦浜(石田町)、一支国博物館(芦辺町)、イルカパーク、朝市(勝本町)、焼酎の蔵元など、壱岐島は自然と歴史に恵まれている。この壱岐で、島人たちが集まり、旅人たちも島巡りの拠点にする。輝昭さんと智春さんは、自分たちの店と宿から、人々の心に涼しげな風鈴の音がいつまでも響き続けることを願う。

2017年3月 Vol.144「よろしく先輩138」

  • 投稿者:堀田
  • 更新

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