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伊折 志登也・智子ご夫妻

 その店は、長崎市立図書館の前の交差点を賑橋方向へ下って右へ曲がると、すぐ左手にあった。お昼時、ほぼ満席の店内に、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」の元気な声が響く。志登也さんと智子さんのテキパキした動きと満面の笑顔が印象的だ。

 「真面目男」と「愛嬌女」

 志登也さんは長崎市内で生まれ育ち、智子さんは山口県の出身。二人が出会ったのは、東京だった。ともに25歳の頃、志登也さんは築地市場で会社の社員としてバイヤーの仕事をし、智子さんは志登也さんの会社の取引先である、叔父の鮮魚卸店で働いていた。

 「叔父から『いい男がいる』と紹介されたんです」と智子さん。鮮魚卸店の専務をしていた智子さんの叔父は、志登也さんの真面目な仕事ぶりと誠実な人柄に惚れ込んだようだ。

紹介を受けて初めて会った時、志登也さんは「笑顔が可愛くて愛嬌があり、客受けも良い」、智子さんは「真面目で優しそうな方」と、ともに好印象を抱いた。付き合ううちに、「楽しそうに仕事をする。性格が素直」(志登也さん)、「男らしい。頭もいい」(智子さん)とさらに互いを発見し、翌年結婚した。

 故郷で自分の店を持ちたかった志登也さんは会社を辞め、28歳から2年間、大学時代にアルバイトをした香川県高松市内のうどん店で修業。30歳の時に興善町で開業した。

 開店して最初の数年間はさすがに大変だったが、志登也さんには自信があった。「手打ちで美味しいうどんを作れる。これで売れなかったら、何も売れない」と。夫婦で力を合わせて、味の本質に向き合い続けること15年。今では、その本格讃岐うどんの味を求めて、人々が足繁く通う。鯖寿司や味噌おでん、好みに応じた麺の量の増減、具材のトッピングなども人気の理由という。

 物事に真面目にひたむきに取り組む志登也さんの姿勢は、「ゆでて5分以上たった麺をお客に出してお代を頂くことはしない」との決め事に表れている。だから、その麺はビニール袋に分けて、希望するお客には無料で「持ち帰り提供」をする。

 「結婚して良かったですか?」の問いに、二人は「ハイ‼」ときっぱり。共に手を取り合って「店」という宝物を生み育ててきただけに、短い言葉の中に信頼の強い絆を感じる。

 「人の触れ合いが魅力」

 「学生時代よく食べに見えた方が、長崎へ出張で来たからと寄ってくれます。味を介して人と人の触れ合いができる、これが魅力です」。志登也さんと智子さんは清掃や祭りなど地域の活動にも参加し、しっかり根を張る。「バイトを募集してもなかなか応募がないのが悩み」と言いながら、「まず、子どもが大学を卒業するまで。その後も体が続く限りは頑張りたい」と語った。今日も長崎の下町の一角に、夫妻の元気な掛け声が響いている。

讃岐手打ちうどん とも也

長崎市賑町5-25-2(中央公園裏)

TEL/FAX:095-829-0609

11時~14時半、17時~21時

 

  • 投稿者:堀田
  • 更新

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