海に面した2階のお店のテラス。まだ覚めやらぬ二日酔の脳にビールで元気を注入しながら、山口瞳さんの「酒呑みの自己弁護」という本を開いていた。
「いいお天気になりましたね」の声。私にか?見廻すとひとつ置いた席、同年輩らしき男性がひとり、コーヒーカップを前にこちらを向いている。問わず語りに話がすすむ。近々娘さんが結婚するらしい。挙式間近というのに何の相談もない、マンションの契約も済んだようだ・・・。そういえば最近は結婚式場の下見や予約に二人だけで出向き、何でも決めてしまうカップルが多いとか。金は出さなくていい
から、口も出すな、ということですかね、と式場の係の人の感想。後で親御さん達がそっと確めにこられていることなんかも知らないんでしょうね、とも。幸せに酔いしれる二人の周りをシラケ鳥が飛びかっ
ていては長い人生のタメになりません。独身最後の親孝行にと考えて、ご両親やまわりの皆さんのご意向にもこころを開いてみてはいかがでしょう。思わぬ知恵やお金もきっと湧いてきますよ。とんだおせっかいでありますように。 |

江戸町の居酒屋のコート掛けにタバコの煙にまみれてかなり黄ばんだ山笠法被(やまがさはっぴ)がかけてある。
博多には山笠(やま)のぼせという言葉がある。生半可ではない。入社の条件に山笠期間中は会社を休ませてくれとか、とてつもないのぼせぶりなのである。日頃は気にもとめる人もない山笠法被を見つけた客の話では、某銀行員が長崎勤務にもかかわらず強引に休暇届けをだして、毎年山笠を担ぎに博多へ行くという。山笠の話がはずんで酒がすすんで、やがて悲しき博多暮らしの思い出がよみがえる。
まだ三十代の美しい人であった。ご主人が早く逝去され、おでん屋を継いでお姉さまと二人でがんばっている、けな気な人であった。そのお店へ通い始めて2年目の山笠の夏を迎えたころ風呂敷包みをそっと私に手渡し「あとで見て」と、その後は無言。帰って包みをといてみると小さな山笠法被が出てきたではありませんか。博多っ子にとっては山笠法被は命より大切なものとか。亡くなられたご主人が中洲流れの山笠のぼせで、ご愛用の法被だったと知ったのは私の転勤が決まってお別れに参上した時であった。もっと早く聞いておれば、と今でもくやまれ申し訳ない気持ちでわが身を責めている。新しいご主人とお子達にも恵まれ、幸せな生活を送られているという。メールではできぬ技である。源氏物語の時代には野の花に愛を託したというではないですか!インドのミテイラ地方では今でも恋心を絵に込めて送るそうです。
メールや電話ではなく、もっと丁寧に真剣に心を開いてみてはと思う昨今です。 |

夏がくれば思い出す。はるかな恋、遠い人。ウソはなかった、すれ違っただけ。青春色に輝いて、はるかな恋、もう一度。
あなたのために、良かれと思ってしていたことが、必ずしも望まれていたことではなく、喜んでもらえていなかったことを、すれ違いが多くなるに従って、私にもようやく分かってきました。気を利かせたつもりが、うっとうしいと言われた時、早く切り上げなければと、よぎっては消え、消えては未練が引き止めた。そんな日々からの脱却がはっきりと私の決心になりました。
人生は何ごとも“なるように”なるようにできているという、あきらめと希望が押したり引いたりしながら、自分自身を自分で理解することがどんなに毎日の手助けになるのかも学びました。またあの夏の日が来ます。がんばります。 |

相棒という映画が大ヒットだそうです。私は映画、テレビなどの映像文化よりも文字文化の信奉者です。自分の文化として蓄積していけるのは絶対に活字だと信じておりますし、実感もあります。
と、いいつつも過日、テレビで相棒というおなじみ水谷豊のリピート番組に見入ってしまいました。「ラブ」という名の犬をめぐっての殺人事件でした。妻よりも、夫よりもペットを愛し、大切に思う男と女の愛憎のこころ模様の不思議にただただため息でした。
愛とは何なのでしょう。人を信じられなくて愛が生きていけるのでしょうか。自信をもって自分を信じ、相手を信頼してこその愛だと思うのです。それでもむくわれない愛もあります。私にもそんなつらい経験が、ひとつやふたつではなくあります。恐れてはなりません。それが人生、それが人間なのです。目をつぶることなく過去を見つめ、明日を信じて自らの可能性を磨いていこうではありませんか。 |

お寒うなりました。この夏、ドキッと素敵な一句に出会いました。真砂女という方の句です。この「ひと」とはどんなひとでしょう。ひとを好きになるという事は、理屈抜きの感情です。
感とはひと目ぼれ、情とはひとにほれ、人を好きになるのに理屈はありませんが、いざ結婚となるとどうしても自分を見つめ直し、相方を観察し直してみたくなるのは、これ人情。情に流されれば感が勝ち、感を信じれば不安が先に立つ、そういう時は日頃のコミュニケーションのひとつひとつを冷静に思い返し、私の基本といいますか、生き方のテーマといいますか、許せる事、どうでもいい事、絶対ダメな事、そんなシーンのひとつひとつを思い返して、自分なりの価値観を再確認してみる事をおすすめします。
今回の酊主は我ながら実に冷静です。医者さまに“しきゅうきんしゅ”と言われて、多少めげております。な~に一盃飲めばすぐ立ち直ります。 |
 |
|