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*よろしく先輩 46話~50話*
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「ああ、われら若く」
林 智彦・典子ご夫妻 リズムワン 代表
「ああ、われら若く」林智彦・典子ご夫妻リズムワン代表

  航空・宇宙工学の権威であり、自らチェロ・バイオリンを演奏していた故・糸川英夫は「ボーンコンダクション理論」を提言しています。
 音は耳で聴くだけでなく、それが振動として体表から骨を通して聴覚系に伝播されるために、恍惚感や陶酔感をもたらすのだとか。

 智彦さんは、2005年の第9回“熱血おやじバトル”でグランプリに輝いたグループ、ファンク・ステーションでドラムを担当しています。
「若いころからファンク・ミュージックが好きでしてね、博多にいた時もグループで活動してましたよ」
 青年のままの笑顔を浮かべます。
 その頃、典子さんと知り合ったんですか。
「ええ、私の通っていた大学の学園祭にファンクのグループが来たんです。皆さん生き生きとしてて素敵でしたよ」
 それで智彦さんと恋に落ちたんですね。
「いいえ、その時のドラマーに憧れてたんです。でも、その人が辞めて、後からドラマーとして入って来たのが主人なんです・・・」
典子さんは含み笑い。
 第一印象はお互いにどうだったんでしょうか。

 「主人は、痩せていて可愛い人でした」
「初ライブが終わって、談笑してたんですが、一目惚れしましたよ。とにかく可愛い人でしたから」

 それなのに智彦さんは佐世保に戻ったんですか。
「ええ。私はプロになる夢を諦めましたから・・・」
「それで、一年ほど遠距離でした」
 でも心は繋がっていたんですね。
「私の父が転勤族で、佐世保に住んでたことがありましてね。とても素敵な街で好きだったし・・・」

 典子さんは百合のようにほほ笑みます。
 そのまま、智彦さんは音楽を続けて来たんですね。
「やっぱりファンクは手放せませんでしたから。オリジナル曲も十三ほど作詞・作曲しましたよ」
「私は今も、主人のファンなんです」

ファンク・ミュージックと言いますと、やはり16ビート。智彦さんのスネア・ドラムは、典子さんの体表から聴覚へ、そして心にまで届いているのでしょう。
 今回のタイトルは、典子さんの出身校の校歌の最後にある歌詞なのですが、いつまでも若々しいのは、ラブ&ファンクがあるからなんですね。

「ああ、われら若く」林智彦・典子ご夫妻リズムワン代表

2009年6月vol.57「よろしく先輩50

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「ナンジャモンジャ」
横田 修一郎・博美ご夫妻 島原市長
「ナンジャモンジャ」横田修一郎・博美ご夫妻島原市長

 アオスジアゲハの幼虫は、クスノキの葉を食べて育つといいます。虫除け成分が含まれているのに、これは不思議な事ですね。このクスノキを始め、見慣れない立派な樹木は、昔から“ナンジャモンジャ”の愛称でよばれます。島原の「市の木」もクスノキです。  

お見合い結婚だそうですね。
「県庁の職員の時に、下宿先の奥さんの紹介で」
「その方と私の母が知り合いでしたから。双方の両親と私たちの3対3でお会いしました、私の家で」
 印象はどうでしたか。

  「ひとり娘と聞いていましたが、おとなしくてしっかりした人だと思いました」
「私は、真面目な方だと感じましたね」
 二人とも遠くを見るような面持ちで振り返ります。
九月に見合い、十月に結納、そして翌年の二月に挙式。スピード婚ですから、よほど相性が良かったんですね。
「どうでしょうか。奥さんは、のんびり屋ですが」
「主人は、せっかちなんですよ」

 好きな音を尋ねてみますと、修一郎さんは“シシオドシ”の竹の音。庭園にある、水が溜まると竹筒が撥ねる、あの音だそうで、博美さんは、沸騰した茶釜に水を差した一瞬の静寂なのだといいます。
 どちらも詫び寂びの世界であることは共通していますが、音を発するのと途絶えるのは、これまた正反対ですね。 「ところで、私達の時代は、男も三十歳までには身を固めるのが常識でしたけど、今は晩婚化・非婚化してますね」
「そうね。私達は主人が二十六歳、私が二十三歳の時にお見合いをしたのに・・・」

 博美さんのお父さんが熱心に推し進めてくれたのもスピード婚の要因なのだそうですが、昨今は、当事者を取り巻く家族や上司の薦めも減っているのが懸念されますね。

 さて、世の中には“似た者夫婦”も多いのですが、二人のように“正反対夫婦”も少なからず見受けます。でもそれは、アオスジアゲハとクスノキのように、不思議な縁でしっかりと繋がっているのでしょうね。まさに“ナンジャモンジャ”ではありませんか。

「ナンジャモンジャ」横田修一郎・博美ご夫妻島原市長

2009年6月vol.56「よろしく先輩49

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「丘の上に咲く花は」
池田 功・京子ご夫妻 愛野町在住
「丘の上に咲く花は」池田 功・京子ご夫妻 愛野町在住

 夏を代表する花、ヒマワリ。その名から、いつも太陽に向かって咲いているイメージがありますが、正しくは、蕾の時期から小さな花になる間だけのことだそうで、大輪の花は東を向いたままだとか。
 この北アメリカ原産の黄色い花を、愛野のジャガイモ畑で見かけた人も多いのではありませんか。

  男女それぞれの数人のグループで交際をしていたそうですが、その中からお互いを選んだ決め手は、どんな点だったのでしょうか。
「さあ・・・、どうだったか」「そうですね・・・」
 わずか十年前の、大切なこと。教えて下さいよ。
「初めから、仲間内でカップルにされてたようで」
功さんの口調は、笑顔と裏腹に素っ気ありません。京子さんも思い出せませんか。
「私も、記憶にないですね」これまた淡々と一言。
 京子さんの実家は商売をしていると伺いましたが。
「ええ、スーパー・マーケットを営ってます」
 農家に嫁ぐのは大変だったのではありませんか。
「どんな仕事も大変ですし、嫁いでみないと判りませんから、気にはなりませんでした」
「何があっても俺が味方になるからって、言いましたから、不安は与えなかったと思います」

 功さんは、表情を変えることなく話します。どうやら、“決め手”は二人の心に肥料のように埋めてあるようですね。

 それにしても、お祖父さんと両親、三人の子供達の四世代、八人家族。毎日、慌ただしいでしょうね。
「私には子供のこともありますが、誰もが理解してくれて、助けてくれますから有り難いですよ」
 京子さんは家族への感謝の言葉を忘れません。
 ジャガイモは一月に植えて五月に収穫。そして九月に植えて十二月に収穫する二期作だそうですが、夏の間はどうして過ごすんですか。
「ヒマワリを植えて、枯れたら肥料として畑に鋤き込むんです」
「七月には、旅行に行ったりもしますよ」

 北海道に次いで、全国で二番目の収穫を誇る長崎のジャガイモは、こんなに明るく微笑ましい皆さんの汗と努力が生み出す宝物。品種も、その名の通りに“アイユタカ”なのだそうです。
 子供達は元気に走り回っていますが、功さんと京子さんは、大輪のヒマワリのように同じ方向を見詰めて生きているんですね。

「丘の上に咲く花は」池田 功・京子ご夫妻 愛野町在住

2009年5月vol.55「よろしく先輩48

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「ハートにキッス」
岡本 彰・典子ご夫妻 オカモト・シェ・ダムール オーナー
「ハートにキッス」岡本彰・典子ご夫妻オカモト・シェ・ダムールオーナー

 アランは「人間語録」で次のように語っています。“夫婦の社会では、それぞれの仕事で各自が自分を助け、あるいは相手を支配する。だから、夫婦は対等だが、異なっている。彼らは異なるからこそ対等なのである”と。では、二人に伺ってみましょう。

  国見で修行をしていた彰さん。その師匠の子供を送り迎えする保育園の保育士だったのが典子さん。お互いの印象はどうだったのでしょうか。
「僕は、とにかく美しい人だと思いましたね。なんとしてでも結婚したいと・・・」
「私には、いい人に見えましたけど、すごく積極的で断って断っても誘ってきました」
デートはどんな所に行ったんでしょう。
「アー君は、あちこちのケーキ屋さんに連れて行ってくれました」
「経営のノウハウを学び取りたかったですからね」
 そして、いよいよプロポーズですね。ケーキのように甘く切なくでしたか。
「とんでもありません。“独立して開店するから店番になってくれ”って言われたんです」
「典子の両親にも、そう言いましたよ。女房だったらタダで済みますから」
「あとで考えたら、ケーキ屋巡りのデートで、私を仕込んでたんでしょうね」

 これまでの結婚生活を振り返ってみて、どうですか。
「喧嘩ばかりして来たよな」「殴り合いもね」
 穏やかではありませんね。でも、そう言いながら見詰め合う眼差しは恋人同士のままではありませんか。
「女房は宝物ですからね。好きで好きで一緒になったんだから。子供たちにも、“お父さんには典子が一番大切な人。お前たちは二番目”だって・・・」
「夫婦があって、それから家庭になるんですからね」
「お互いにそのことを忘れていないから、殴り合いもできるんですよ」

 “夫婦は、愛し合うと共に憎しみ合うのが当然である。かかる憎しみを恐れてはならぬ。正しく憎しみ合うのが良く、鋭く対立するがよい”
 坂口安吾は「悪妻論」でそう述べています。
 目の前の二人、正しく憎しみ合ってるんですかね。
 見えないのをいいことに、お互いの心にキッスいてるように思えてならないんですど・・・。

「ハートにキッス」岡本彰・典子ご夫妻オカモト・シェ・ダムールオーナー

2009年4月vol.54「よろしく先輩47

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「二人の引力」
ヤマサキ ユズル・香ご夫妻 月の美術館館長
「心の引力」ヤマサキユズル・香ご夫妻月の美術館館長

 南太平洋フィジーの夜、シー・ブリーズに心地よく揺れる椰子の葉陰で、ゴンドラのような月を眺めたことがあります。ところが、その翌日に帰国して夢の余韻のまま見上げると、ゴンドラは右側に直立した形で輝いているのでした。緯度の違いが不思議な天体ショーを見せてくれたのです。場所や心象が変わると、見慣れたものでも思いがけない発見をすることがあるのですね。

  中学校の先生と生徒だったそうですが、結婚した時は何歳だったんですか。 
「私が五十四歳で、ひょん吉は二十七歳でした」譲さんは目を細めます。 
「今は結婚七年目で、先生が六十一才、私が三十四歳ですが、あの時はダブル・スコアーだった訳です」かおりさんは対照的に声をたてて笑います。
今でもご主人を先生と呼んでいるんですか。
「だって、ずっと先生と呼んでましたから・・・」と、かおりさん。
「“ひょん吉”ってのは、大学時代の彼女の渾名に私が吉を付けたんです」でも、譲さんは先生の目をしていません。
「年齢差は特に感じませんし、私は“ひょん吉”からエネルギーを貰ってますからね」また、目を細めます。 
「私は先生の描く月からエネルギーを吸収してるんです」 
 
 ところで、結婚の経緯は何だったのでしょうか。
「私が恋愛問題で悩んでいた時、先生に相談をしたんです。それが、いつの間にか・・・」 
「まぁ、波長が合ったんですよ。出会って、お互いを見つめ、裏側まで知って・・・。大事だと思いますよ」
 
 でも、これだけの年齢差ですと周囲の反対もあったのでは。 
「ひょん吉の両親は厳しかったですね。私と同じ世代なんですから」と、譲さん。
「それで、既成の事実を作ったんです。お腹の中に」かおりさんは、譲さんと目を合わせて大笑い。

私達が普段見ている月面は、比較的になだらかなのだそうですが、裏側の世界は凹凸が激しく、最も高い場所と最も低い場所があることが判っています。なんだか人間の心に似ていますね。でも、それは探査機で確認するような訳にはいきません。時間をかけて、あるいは相手に強く惹かれて、心象として見えて来るものなのでしょうね。
さてさて、今宵も恋するように春の月を眺めましょうか。

「二人の引力」ヤマサキユズル・香ご夫妻月の美術館館長

2009年3月vol.53「よろしく先輩46

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