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*よろしく先輩 56話~60話*

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「桜便り」
辻松 淳二・美幸ご夫妻  佐世保市亜熱帯動植物園 獣医師
「桜便り」辻松 淳二・美幸ご夫妻 佐世保市亜熱帯動植物園 獣医師
 春ですね。全国各地を桜前線が北上する季節。皆さんの今年のお花見はいかがでしたか。
 ああ、申し遅れてました。私は辻松桜と言います。淳二パパと美幸ママの間に生まれて、まだ三カ月の女の子。今日は私がお腹の中にいた頃から聞いていた、パパとママの馴れ初めをお話し致しましょうね。

 パパは、東京生まれの神奈川育ち。北海道大学の獣医学部を出て、今ではすっかり有名になりました旭山動物園に勤務していました。でも、海外協力隊で働きたくて四年で退職。ところが協力隊員になれなくて、札幌の動物病院に勤めました。
 そこで働いていたのが、江別市出身の動物好きでトリマーをしていたママ。お互いに一目惚れと言う訳ではなかったようですが、それでもパパは可愛い女性だと思ったそうですし、ママも風変わりだけど自分に無いものを持った良い人だと思ったそうです。 そんなある時、パパはどうしても夢を諦めきれず、再び海外協力隊に応募。そして南米グアテマラに二年間の予定で派遣されました。知り合って間もないのですから、ママはちょっぴり不安だったようですが、メールの遣り取りで地球の裏側のパパと心を通わせていたそうですよ。
 帰国後、パパは千歳の動物病院に勤務。この時にママと結婚しました。そして四年ほど前に大牟田にやって来ました。そこでママは、去年の今頃に私を身籠もったのでした。突然のことでしたし、ちょうど桜の季節でしたから、この名前を付けたようですよ。

 佐世保に移り住んで、パパは佐世保市亜熱帯動植物園の獣医をしています。まだ半年なのですが、私はここで生まれましたから、佐世保っ子なんです。パパもママも佐世保の人達はとても穏やかで大好きだそうですから、私も嬉しい限りです。
 だから、いつまでもここで暮らせたら幸せなんですけど、パパは単に動物好きなだけではなく、人、特に子供たちと動物の触れ合うことに関わるのが目的なので、またいつか、どこかに移り住む日が来ることでしょうね。

 

 桜の花は、九州では三月中旬から咲き始め、ママの故郷辺りでは五月中旬頃に見頃を向かえます。いつの日か、私たちが佐世保を離れることがあっても、お花見の時には思い出して下さいね。パパもママも、もちろん私も、日本のどこにいても佐世保の皆さん、長崎の皆さんの暖かい笑顔の花を忘れませんから。

 


「桜便り」辻松 淳二・美幸ご夫妻 佐世保市亜熱帯動植物園 獣医師

2010年5月vol.67「よろしく先輩60

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「初めの一歩」
下田 智博・佐代子ご夫妻  シモダアメニティーサービス
「初めの一歩」下田智博・佐代子ご夫妻  ㈱シモダアメニティーサービス 代表取締役
 1968年、日本時間の7月21日未明に、アポロ11号の着陸船が月面に着陸。数時間後、アームストロング船長が人類初の足跡を残しました。日本の子供たちの多くが夏休みに入った日のことです。

 二人が知り合ったのはいつですか。
「高校三年の時、隣のクラスに可愛い人がいましてね。思い切って声を掛けたんです」
と、智博さん。
「二学期が始まった九月一日でした」
智博さんは一目惚れのようですが、佐代子さんは。
「苦手なタイプの男子でしたね」
それでも交際が始まったのは何故なんでしょうか。
「ラグビー部のキャプテンであり、詩を作り、自費出版するなど多才な人だと解りましたから・・・」
こんな話をするのは照れますねと、二人は見つめ合います。でも、笑顔は制服姿の時のように新鮮です。
その後、智博さんは東京の大学に進学。暫くして佐代子さんも東京で働きはじめますが、
すれ違いに智博さんが卒業して長崎の銀行に就職。
「手紙のやり取りで付き合ってましたよ」
「長距離電話なんて、とても高い時代でしたから」
それでも、心変わりをせず二十四歳で結婚。
プロポーズの言葉は覚えていますか。
「特に何も言いませんでしたね」
「もう、自然の流れのままですよ」
と、佐代子さん。
 “2対7対1の法則”ですと、十人のうちの一人は相手を無条件に嫌うのだそうですが、
佐代子さんの心境が変化して結婚に至ったのは何故なんでしょうか。
「主人は、とても冷静ですし、自分に無い物を持っている人ですから。結婚ってそういうものですよね」  
 ストレス解消のため、佐代子さんは英語検定や漢字検定を受け、
ガーデニングの資格も取ったのだそうですが、さて、これからの二人の夢は何でしょうか。
「共通の趣味が魚釣りですから、現役引退して釣り三昧の生活がしたいですよ」
「船でタイ釣りにね・・・」
 ここでも、二人は若々しい笑顔で話します。

 

 世界中がアポロ11号の快挙に沸き立っている頃、日本の片隅では若いカップルが誕生していたんですね。月面にあるアームストロング船長たちの足跡は百万年経っても消えないと言います。二人の、あの日の思い出も生涯消えることは無いでしょう。夫婦の歴史の第一歩ですものね。

 


「初めの一歩」下田智博・佐代子ご夫妻  ㈱シモダアメニティーサービス 代表取締役

2010年4月vol.66「よろしく先輩59

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「夢料理」
山本 啓文・麻衣子ご夫妻  Kitchen K-bun オーナー
「夢料理」山本啓文・麻衣子ご夫妻  Kitchen K-bun オーナー
 “誰もやったことがない仕事にこそ、やり甲斐がある”真珠の養殖に生涯をかけた御木本幸吉の言葉です。天然物が殆ど取り尽くされた時代に、世界中の女性の首を輝かせてみせると豪語し、見事に成功したのですから大変な努力家なんですね。

 啓文さんは宇和島の出身だそうですが。
「ええ。大阪に出て行ったんですが、縁あって諫早の居酒屋で働くようになりまして」
 そこで麻衣子さんと知り合ったんですね。
「彼が働いている店でアルバイトをしてる時に」
 お互いにどんな印象でしたか。
「彼女は接客上手な、さばけた女性でした」
「周りに厳しい人が多い中で、彼は優しい人でした」
 それから長崎市内に移って来たのは、どうして。
「こちらの店の店長になったものですから」
 それで、麻衣子さんも一緒について来た訳ですね。
「いいえ。私は少し前から長崎で仕事をしてました」
「そのうち、同棲するようになったんです」
 二人は顔を見合わせてほほ笑みます。
「結婚することは決めてましたから」啓文さんは補足しました。

そして、一年半後の八月に結婚。十一月に独立開業。
 慌ただしい日々だったのではありませんか。
「何から何まで大変でしたね。今もですが・・・」
「でも、毎日が楽しくて私は幸せです」
「苦労を掛けて申し訳ないけどね」と啓文さん。
「私は苦労だなんて感じたことないですよ」麻衣子さんは、啓文さんの言葉を優しく包み込むように笑顔で応えます。

これからの夢は何ですか。
「やはり、男ですから、この店で頑張ることです」
「取り敢えず、三人で毎日を楽しくね」
 三人ですか。
「五月に出産予定なんですよ。守るものが増えますし、誰かの為になると思えば頑張れるんですね」
 家庭でも啓文さんは料理に精を出すのだとか。
「宇和島の実家から味噌などを取り寄せて、新しい創作料理の試作をするんです」と笑います。

 

誰も作ったことのない料理は、麻衣子さんの味覚にも支えられているんですね。お店が女性客に人気があるのもうなづけます。
 カウンター上では、これも実家から取り寄せた真珠小物の販売もしています。そう言えば、夢を語る二人の瞳も、真珠みたいに輝いていますよ。

 


「夢料理」山本啓文・麻衣子ご夫妻  Kitchen K-bun オーナー

2010年3月vol.65「よろしく先輩58

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「らんらん、ラン」
沖中 義明・祐子ご夫妻  長崎市在住
「らんらん、ラン」沖中義明・祐子ご夫妻  長崎市在住
”私たちはみな生まれながらのランナーであるが、多くの人はその事実に気づいていない”
 生物学者で自らもランナーであるベルンド・ハインリッチは、著書でそのように述べています。四十一歳で100キロ・マラソンに挑戦し、マスターズの世界記録も持つそうですが、チーターに瞬発力を、渡り鳥に持久力を、ラクダに水分の使い方を、カエルにペース配分を学んだと言います。

 知り合ったのはどんな経緯からですか。
「職場の研修で知り合いました」と義明さん。祐子さんは元気のいいスポーティーな印象だったとか。
「私はスポーツが好きで、職場の陸上部に入って彼と走りました」祐子さんの目には真面目な男性として映ったそうです。
 結婚十五年だそうですが、今の世代では早いですね。
「私が二十五歳で彼女が二十一歳の時でした。病弱な父に言われて、早く決めたんです」
「価値観が一緒でしたから、何のためらいもなくね」
 プロポーズの言葉は覚えていますか。
「何だろう・・・、単に“結婚しよう”って」
「そう、私はその場で“はい”とだけ」
 さすがにランナー同士、話も早かったんですね。

 結婚して良かったと思うことは。
「子供が四人いますから、家族が増えて幸福です」
「そうね、私もやはり子供がいてくれるから・・・」
 これまでの生活を振り返って何か感想はありますか。
「私のわがままを許してくれますから感謝してます」
「主人が三年間ほど単身赴任した時、存在の大きさに気付きました。離れて初めて判るものですね」

祐子さんは目を潤ませます。

 今は、義明さんと子供たちが走り、祐子さんはサポート役をしているそうですが、二人を、子供たちを見ていますと、祐子さんは心の中で一緒に伴走しているのが判りますよ。何だかハミングが聞こえて来るようですもの。辛く厳しいスポーツですが、家族揃って“生まれながらのランナー”なんですね。
 誰ですか、“その事実に気付きたくない”なんて言ってるのは・・・。

「らんらん、ラン」沖中義明・祐子ご夫妻  長崎市在住

2010年2月vol.64「よろしく先輩57

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「恋は思案のほか」
前田 稔・沙都ご夫妻  株式会社 前田商会 代表取締役社長
「恋は思案のほか」前田稔・沙都ご夫妻 株式会社前田商会 代表取締役
 物の価値はどのようにして決まるのでしょう。定価は生産コストなどから計算されますが、抽象的な物や美術・工芸品、あるいはアンティーク、ヴィンテージ、ブランド物となりますと素人には想像すらつきませんね。
 では、参考までに専門家に尋ねてみましょう。

 「ブランド物は本物を見て勉強することですね。表面的なことだけでなく、仕上げ方や裏側等一見、見にくい所を丁寧に見ることです。これは人を観察するのと同じですね」
稔さんは、仕事口調で熱弁します。
ところで、二人はお見合い結婚だそうですね。
「父の友人から紹介を受けたんです」
「十二月にお見合いをして、翌年の四月に結婚しました。今年で二十年になります」
沙都さんは、しっとりとした笑顔で話します。
印象はどうでしたか。
「彼女は明るくて、いい人だと思いました」
「私は、話が合う人だと感じましたね」
「でも、翌日電話を二回掛けたのに不在でしてね。父から、居留守をつかわれてるんだろうと言われてショックでしたよ」
 「私は本当に外出してただけなんですけど・・・」
二人は懐かしげに笑います。
  結婚後、お互いの変化を感じることはありませんか。
「彼女は強くなりましたね」
「私は、新婚旅行の時に主人がお土産のネクタイを値切るのを見て驚きましたよ。そんな事が出来るなんて知りませんでしたから・・・」
「でも、今は彼女の方がはるかに交渉上手になりましたね。それから最近、彼女が始めたストレッチ体操と社交ダンスの影響を受け始めたことが大きな変化です」
「認知症の予防にも、健康にもいいですよ」

  話は戻りますが、お見合いの時に稔さんは沙都さんの裏側まで調べて見抜いたんでしょうね。
「いや・・・、あの頃は若かったですし、そこまではね・・・」
あれ、先程の話と随分違いますね。つまり見合い恋愛なんですね。
「正直に言いますと、一目惚れでしたから」
 稔さんは少年みたいな笑顔を浮かべます。
 本物と偽物を見抜くプロでも、生涯の伴侶を選ぶ時、殊に恋愛となりますと、難しい理屈は通用しないようですね、皆さん。

「恋は思案のほか」前田稔・沙都ご夫妻 株式会社前田商会代表取締役

2010年1月vol.63「よろしく先輩56

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