長崎ゆかりの素敵なご夫婦をご紹介
弟子丸昭・久美子ご夫妻
「春がいっぱい」
弟子丸 昭・久美子ご夫妻 長与町在住
ヴィヴァルディの『四季』をご存知でしょう。十二曲からなる合奏協奏曲集の最初の四曲を春・夏・秋・冬と名付けてあります。その最初の曲がホ長調の『春』ですね。ソネットと言う短い歌が付いていて、第一楽章は“春が来て、小鳥がうたい小川がささやきながら流れます。でも、急に暗雲が漂い、雷が襲って来ます”とありますが・・・。
「定年後の人生は、まさに“春”ですよ」
昭さんは、言葉より饒舌な笑顔で話します。現役時代は機械の設計士でしたが、三年前に退職して一年経つと、様々な事にチャレンジしようと決心したのだとか。
「お陰で私は助かりました。だって、一日中家にいて周りをウロウロされると、こちらのペースが乱れますからね」久美子さんはホッとしたようです。
まず、昭さんは男性料理教室に通い始めました。すると自然に家事も分担できるようになったとか。
「初めて海外旅行に行って、語学の必要性に目覚めましてね、二人で英会話も習いだしたんです」
「私が以前からしていたソフトテニスにも参加するようになりまして、買い物も二人でしますし、今ではほとんど一緒に行動しますよ」と、久美子さんは喜んでいます。二人のペースが生まれたんですね。
昭さんは他にも、子育て支援のファミリーサポートや車椅子ボランティアの活動に参加、充実した日々なのだと生き生きとした笑顔で話します。
この春からは、英語圏の若い人を対象にホームステイも受け入れているそうですが。
「ええ。私たちにも二人の息子がいますが、独立して出ていきましてね、どこかで誰かのお世話になっているはずですから」と久美子さん。
「そう、その分をこちらは違う誰かのために役立つことができれば」昭さんは当然のことのように、笑顔で続けます。「回り回って皆が幸せになれるじゃありませんか」
入社まもない昭さんが、部品の注文に訪れていた町工場。そこの娘さんに仄かな思いを寄せ、経営者である父親づてに交際を申し込んだ。
「第一印象は、キザで感じが悪かったんですよ」
久美子さんは当時を振り返ります。
「でも、付き合ってみるととても優しくて・・・」
ヴィヴァルディの『春』第一楽章のソネットは、
雷の後で、“前にもまして楽しい歌がはじまる”と
結びます。二人の門出の春も、定年後の春も、
ちょっとした暗雲の先に広がっていたんですね、
皆さん。
2007年1月vol.27 「よろしく先輩20」