長崎ゆかりの素敵なご夫婦をご紹介
川上暢久・照美ご夫妻
「至上の愛を求めて」
川上 暢久・照美ご夫妻 CHEZカワカミ
墓に入るまでは、人間は幸福なりと称すべきにあらず” とは、変身物語で知られる古代ローマの詩人オヴィディウスの言葉。目先の幸不幸に一喜一憂してみても始まらないんですね。或いは辛い人生であっても、やがては最高の世界が待ち受けているのだから力強く生きよと解釈すべきなのでしょうか。
二人が知り合ったのはいつですか。
「私が高校を出てホテルで修業をしている時に」暢久さんは昨日のことのように話します。
「私は経理をしていたんです」照美さんも同じ表情で語ります。
「彼女は溌剌とした人で気に入ったんですが、告白の勇気がなくて先輩に頼んだんです」
「彼は仕事姿が格好良かったですね。それに美味しい物が食べられるかなって・・・」照美さんは笑います。
知り合って四年半で結婚。交際は順調でしたか。
「いや、デートで毎晩帰りが遅かったものですから、彼女の父と兄からは猛烈な反対を受けましたよ」
「母と姉は陰から応援してくれましたけど」
「それで、怒鳴られるのを覚悟して彼女の家に行って結婚したいと言ったんです。そしたらあっさりと許してくれましたよ」暢久さんは笑います。
「いつも遅くまで会ってたから父や兄は気がかりだったようですが、本気と判って安心したんですね」
普段の生活は。
「私は子育てをせずに彼女任せで・・・」
「でも、食事は全て彼が作ってくれますよ」
「あとは旅行をしたり」
「仕事も兼ねてレストランにもよく行きます」
将来の夢はありますか。
「私は“出会いの店”をやりたいですね」と暢久さん。
「私は総菜屋さんかな」と照美さん。
「高校での仕事で、お握りを作ってたんですが、何年か経って口にした人が、高校時代に食べたのと同じだと言われて驚いたりします」暢久さんは幸せそうに微笑みます。
「そうね。当時130円だったのが、消費税が付いて137円になってたり・・・」照美さんも笑います。
ところで、照美さんの御父さんに会う前に、プロ
ポーズはしていたんですか。
「勿論ですよ。“一緒に墓に入ろうね”って言いま
したよ」暢久さんは真顔。
なるほど。オヴィディウスの言を借りれば、この
上ない幸福な時を迎える約束をしたんですね。
2013年12月vol.108 「よろしく先輩101」